愛するthe HIATUSのOur Secret Spot Tour 2019@Zepp Nagoya(9/3tue)に行ってきたので、6thアルバム『Our Secret Spot』と絡めて感想を。
なお、セットリストおよびネタバレを含むため、これからライブに行かれる方はご注意ください!
6thアルバム『Our Secret Spot』を聴いて
無事に家にとどいてた❤️
— こるり (@koruri130) July 23, 2019
ホントはながら聞きなんてしたくないけど、早く聞きたいから、夕飯作りながらきいちゃう✨#theHIATUS pic.twitter.com/kdobGbJte0
思えば、私がthe HIATUSのファンになったのは、Insomniaを耳にした2013年の冬でした。(過去記事こちら⇒★)
それを機に既出のアルバム、Trash We’d Love、ANOMALY、A World Of Pandemoniumを憑りつかれた様に聴き、その後の音源も聴き続けました。
そして今回のツアーの冠である6thアルバム『Our Secret Spot』。
これを聞いたとき、「ああ、the HIATUSはここまで来たんだ。この道を進むんだ」と、ハッキリ感じました。
ここまでってなんだよって感じですが、率直に言うと、「モッシュやダイブのないライブ・楽曲制作をし、きっとこの大人路線を進むのだ」と。
実際のところ、もう何年も前からその片鱗は見えていたように思います。
2016年夏に5thアルバム『Hands Of Gravity』をリリース以降毎年、3年連続で、ビルボードライブ大阪、ブルーノート東京・名古屋など、いわゆるジャズクラブを回るツアー(Jive Turkeyシリーズ)を行っているのです。
そのステージには、ジャズクラブの重厚感に負けない(むしろ勝ってるし)、やんちゃなだけではない、まさに大人のthe HIATUSがいました。
既存の曲たちも見事にアレンジされ、しっとりとそして色気を醸して聴かせる曲に生まれ変わっていた。
それらを踏まえて6thアルバム『Our Secret Spot』を聴くと、もう何のアレンジもなくクラブツアーができてしまうじゃないかと感じたし、完全にそちらにシフトしたんだなと、思わざるを得なかった。
そして今回のOur Secret Spot Tour 2019には、もうダイブ・モッシュはないだろうと、容易に予想ができました。
いままで、フェスのthe HIATUSではモッシュを楽しんできた私でさえも、それをくっきりと感じることができたのです。
それほど鮮明に、今のthe HIATUSの音楽性と方向性が見えました。
そんなアルバムを引っ提げてのツアー、非常に楽しみに参戦しました。
【注意】これ以降、セットリストおよびネタバレを含みます。読まれる方はご注意ください!
Our Secret Spot Tour 2019@Zepp Nagoya(9/3tue)の感想
それでは、ライブの感想です。
テンション上げていきます!
セットリスト
01.Hunger
02.Servant
03.Thirst
04.Unhurt
05.Time Is Running Out
06.Clone
07.Bonfire
08.Sunset Off The Coastline
09.Radio
10.Regrets
11.Chemicals
12.Horse Riding
13.Silence
14.Back On the Ground
15.Something Ever After
16.Insomnia
17.Firefly / Life in Technicolor
18.Moonlight
En1.
01.Get Into Action
02.Shimmer
En2.
01.西門の昧爽
モッシュ・ダイブについて
ここまで読んでいただいている方の中には、気になっている方も多いと思うのでまず言います。
今回のライブ、モッシュ・ダイブはほぼないです。
する人がいるとしたらInsomnia 1曲だけではないかと思われます。
それでも会場の雰囲気を汲めば、控えるのがエイタスメンバーへの流儀ではないかと感じます。 (もちろん、細美さんは好きに楽しめばいいと言っているので、やりたきゃやればいいのですが…)
実際に私が行った9/3のZepp Nagoyaでは、先述の通りInsomniaの時、前列方向でダイブをした人が数名いたようです。(私は気づかなかったけれど、夫は見たとのこと)
もちろん地方によって会場の雰囲気が異なるとは思いますが、少し検索してレポなど確認してみると、今のところどの会場でも似たような感じのようです。
感想
アルバムと同じく「Hunger」で始まったこの日のライブ。
控え目に言っても最高でしかなく、他の言葉を探してもやはり最高としか言い様がなく。(自分の語彙力なさを悲しく思うばかり)
今までのどのライブとも違う表情で私たちを包んでくれたthe HIATUSが、そこにいました。
メンバーがお互いを見つめ笑顔を交わし、それを客席に向け、楽しくて仕方ないのだと全身から喜びを発していた感じがします。
そしてそれを受け取る私は、ライブのあいだ中、心地よい多幸感に包まれていました。
CDなんかとは違う、サブスクリプション配信なんかでは到底感じられない音の洪水がそこにあって、溺れてしまっても構わないと思えるほどの、快感だった。
最初のMCはとても短く、10周年であることとそれに伴う感謝を口にしたのみ。
そしていつものように、「俺たちから強制することは何もない。自分の好きなように楽しんでほしい」と。
「Hunger」でガツンと渋い音を出したかと思えば、「Servant」「Thirst」「Unhurt」「Time Is Running Out」「Clone」と、心地よくうねり揺らめく曲が続きました。
Thirst → Unhurtの流れはここ数年のライブやフェスでのお決まりだったけれど、そこにニューアルバムの曲たちが加わった形で、既存曲がアレンジされていたようで(もしくはアドリブ?)、新曲たちと境目なく混じり合っていた。
このあたりで細美さんは「曲が気持ちよくてアルコールが回りすぎる」みたいなことを言っていたのだけど、ほんっとその通りだと思う。
私は素面ですけども!もうね!!上下左右がわかんねぇよ水平間感覚ぶっ壊れたのかなぐらいに、ふわんふわんに気持ちよかった。体全体で音を感じてその振動でサンドバックにされている感覚。
なんかもう心地よすぎて、どこでMC入ったんだっけとか、全体がどんな流れだったんだっけとか、セトリ見て「そうでした、そうでした。ハイハイハイ」ってやっと思い出すぐらい。ライブ全体が溶け合ってどろどろにつながっていて、どこかを切り離すなんてできない。
照明がそんな浮遊感を助長させてくるうえに、打ち込みの音たちが刻む淡々とループするリズムに誘われて意識もぐわんぐわんしてくるからほんとやばい。
とかいいつつ、どうしても切り離して話したいのは、「Regrets」と「Insomnia」「Firefly/Life in Technicolor」と「西門の昧爽」だ。
どこかのMCで細美さんが、「もう夏は終わって秋になってしまうのだけど、このアルバムはやっぱり夏が似合うと思う」ということをぼそりと言ったのだけど、それはまさに「Regrets」がそうで。「Regrets」こそが代表的な「夏」だと思った。
前アルバムでも「Sunburn」という、「夏の終わり」「夏の夕暮れ」を感じさせる(っていうかまさにそうなんだよ。日焼けの痕の歌だもの)曲があったけれど、それよりもさらに哀愁を感じさせる。
比較して言うなら「Regrets」は「夜の帳が下りてくる頃」。
歌詞も「Summer’s on the way(夏はすぐそこだ)」「The nights are pretty(夜は美しい)」と繰り返している。
個人的には『Our Secret Spot』では、(現時点で)この曲が一番すき。
センチメンタルが過ぎて、なにか叫びながら水平線に向かって駆け出したくなる衝動。いまさら青春かよ。(わたし的にいうのならば、やっぱり細美さんの声はセンチメンタルが過ぎるのである。)
細美さんの声も、照明も、もちろんだけれどウエノさん・柏倉さん・一葉さん・マサさんの演奏も、そのすべてが本当に美しかった。
次いで、話さずにはいられない「Insomnia」。
このライブ中、先に述べたようにモッシュ・ダイブは99%なかったのだけど、シンガロングはあって。「Bonfire」や「Radio」なんかがそうだった。
でもやっぱりこの「Insomnia」だけは別格なんじゃないだろうか。
イントロの柏倉さんのドラムひと叩きで、観客みんなが覚醒した。
一気に湧き上がるシンガロング。みんなで「不眠症なんだ」と、「Save me」と、叫ぶ。
このライブ、ずっとうっとりしながら「聴いて」いたけれど、ここぞとばかりに能動的になった瞬間だった。
いやね、もう周知の事実ですけどこれ、歌詞見るとほんと絶望的な局面なんだよ。眠れねぇって言ってんだもん。よりによって助けて!だよ?
でもさ、今や細美さん自身がそれを笑い飛ばせるぐらいに前に進んでいて、ファンたちもそんな細美さんを肌で感じていて、それでも「あの時のあの気持ちは忘れない」って感覚で叫んでるんだと思うんだよ。
わたし個人で言えば、the HIATUSファンになった曲であり、生歌で聞くといつも意図せず涙が出てくる曲で、これはやっぱ特別なんだ。
なんかこう、こぶし突き上げてただ叫んでいるだけなのに、胸が(っていうか内蔵が)震えてあふれる涙が抑えられない。本当にいつも思うのだけど、なんなんだろう、これ。この震えは、なんなんだろう。
そんな絶叫あとの、「Firefly/Life in Technicolor」。
細美さん自身が、Jive Turkey Vol.3のMCでも、そしてこの日のMCでも言っていた。
「不眠症」だと歌っていたバンドが、「極彩色の人生」だなんてな。って。
その落差はどれだけのものだろう。情緒不安定ヤロウじゃんwww
照明だって、青白いものから一気に色とりどりの極彩色にかわった。
跳ねるピアノの音とリズムと、体を揺らして前に前に、外に外にと向かう気持ちと心。
ああ、もう眠れない夜に怯えることはないんだって、そう感じるには十分じゃないか。
この日の多幸感ピークの瞬間だった。
そして最後に。「西門の昧爽」
2回目のアンコールで、細美さんのギターから始まったこの曲。
細美さんの声は、少ししゃがれていて、柔らかで優しくて温かかった。サビではシンガロングが起きて、なんだろう……、すごくギュッと来た。
2011年3月11日以降、細美さんがしてきたこと。それを思うといま、こうやってあたたかな声でこの曲を歌ってくれるのが、すごくすごく感慨深い。
the HIATUS活動開始から10年。
「ただ少し」ずつ進んできた道。その軌跡が、愛おしい。
そうだ。本編終盤で、「これからもまた10年よろしく!」との言葉。
それを聞いて、この先もまだまだthe HIATUSの音楽が聴けるのだと、心底うれしかった。
とにもかくにも、最高に気持ちよくて心地よくて音を全身で感じて音に酔って(みーちゃんは酒に酔って)、あとは笑顔と笑顔と笑顔と、不眠症をみんなで叫んで涙がちょちょ切れてちょっと切なくて、でもやっぱり笑顔で温かい気持ちをもらって、幸せな2時間と少しでした。エイタス最高❤️ #theHIATUS pic.twitter.com/Hni93gWu2v
— こるり (@koruri130) September 3, 2019
MCとかあれこれ
曲に関することはここまでで終わりとういうことで。
自分の記録に残すため、少しMCについて触れてみる。
なんと細美さん、老眼キテルってよ(笑)。
爪切りの手元が見えない。スマホの文字が見えない。手元の丼めしの上に乗っかってるものが見えない。もう初老だってさ~。
あーーーー、まじかーーーーーーー!!!46歳だもんねぇ(* ´艸`)
あとね、この夏は、メンバーみんなで広島の海を満喫したそうな(一葉さん除く)。
んでも平日で高校生くらいの若者しかいない中、入れ墨入りまくりで職業もわからなようなおっさんたちが戯れていたもんだから、異質だったそうな。
おっさんたちが、海辺で水の掛け合いとかwwちょwwwww
そしてアルバム完成した時。
1stのTrash We’d Love完成時は床に突っ伏して泣いたけど、今作は「あぁ、いいのできたんじゃない?」ぐらいの感じだったと。
いやいやいやいや。軽っ!(笑)
絶対そんなことないのはわかってるんですけどね?命すり減らして作成したって、わかってるんですけどね?
あ、そういえば「西門の昧爽」では間奏でメンバーソロパート(?)がありました。
1曲内で全員の名前を呼んでの演奏って珍しいのでは…?
さいごに
10年って本当に長くて。
10年前何してた?って考えると、その長さに唖然とする。
自分がそうだったように、the HIATUSにとっての10年も、きっとデコボコだらけの険しい道だったんだろう。
実験的に新しい音楽を、MCでの細美さんの言葉を借りるならば「モダンアートを音楽で表現しよう」としてきたグループだからこその衝突もあったに違いない。
新しいものを生み出すのに、真剣じゃないメンバーなんているわけない。
このメンバーだからこそのケミストリーが、数えきれないほどあったはずだ。
そして個々の精神面での変化だって大きいものだったに違いない。
特に一葉さんは、特典映像やインタビューなどでも、細美さんからの影響を強く受けたと公言している。
細美さんに至っては、TOSHI-LOWさんという、いまや細美さんの話をする上で避けては通れないほどの大きな存在と出会っている。
今回の『Our Secret Spot』は、楽曲そして細美さんの書く歌詞が、10年という時間の経過をまざまざと見せつけてくる。
人の移り変わりをこれでもかと突きつけてくる。
現時点での最高到達点。
でもthe HIATUSは、まだまだ変化を続けるはずだから、目を離したりは決してしない。